大腿ヘルニア・臍ヘルニアと鼠径ヘルニアの違い
WHERE THE BULGE APPEARS AND WHAT IT MEANS
足の付け根やおへその膨らみ ― 大腿ヘルニア・臍ヘルニアと鼠径ヘルニアの違い
足の付け根やおへそのあたりに、やわらかい膨らみがある。立つと出て、横になると引っ込む。痛みは強くないけれど、何の病気で、何科を受診すればよいのか分からない――そうした不安から調べはじめる方は少なくありません。
膨らみの正体としてよくあるのが、おなかの壁の弱いところから組織が出てくる「ヘルニア」です。ヘルニアには、出てくる場所によって鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・臍ヘルニアなどの種類があり、見た目が似ていても性質は少しずつ異なります。
この記事は、特定の病名を断定したり、ご自身での自己診断をすすめたりするものではありません。成人の大腿ヘルニア・臍ヘルニアと鼠径ヘルニアの違いを、膨らみの位置や特徴をてがかりに、一般的な医学知識として中立に整理します。最終的な見分けは受診による診察が必要、という前提でお読みください。
What These Hernias Are
そもそもヘルニアとは何で、どんな種類がありますか?
結論:ヘルニアとは、おなかの壁の弱い部分から内側の組織が飛び出す状態で、出てくる場所により鼠径・大腿・臍などに分かれます。
おなかの中の臓器は、筋肉や膜でできた「壁」によって支えられています。この壁のどこかに弱い部分やすき間があると、立ったり力んだりしたときに、内側の脂肪や腸の一部がそこから外側へ押し出されることがあります。これがヘルニアで、皮膚の下にやわらかい膨らみとして触れます。
ヘルニアは、飛び出してくる場所によって名前が変わります。足の付け根の鼠径部に出るものが鼠径ヘルニア、その少し下の大腿の付け根に出るものが大腿ヘルニア、おへそに出るものが臍ヘルニアです。いずれも自然に塞がって治ることは基本的になく、膨らみの位置や出方が似ているため、見た目だけで種類を見分けるのは簡単ではありません。
- 鼠径ヘルニア ― 足の付け根(鼠径部)に膨らみが出る、成人に比較的多くみられる代表的なタイプ。
- 大腿ヘルニア ― 鼠径部よりやや下、太ももの付け根側に膨らみが出るタイプ。
- 臍ヘルニア ― おへその部分に膨らみが出るタイプ(本記事では成人の方を対象にご説明します)。
Inguinal Hernia
足の付け根の膨らみ ― 鼠径ヘルニアはどんな特徴ですか?
結論:鼠径ヘルニアは足の付け根に膨らみが出るもので、成人のヘルニアの中では比較的多くみられ、立つと出て横になると引っ込むのが典型です。
鼠径ヘルニアは、足の付け根(鼠径部)のおなかの壁が弱くなり、そこから組織が出てくる状態です。立ったとき、歩いたとき、重い物を持ったとき、せきやくしゃみで力んだときなどに膨らみが目立ち、横になったり手で押さえたりすると引っ込むことが多いのが特徴です。
初期は痛みが乏しく、「やわらかいふくらみがある」程度で気づくことも少なくありません。進行すると違和感や引きつれ感を伴うことがあります。なお、膨らみが急に硬くなって戻らず、強い痛みや吐き気を伴う場合は、出た組織が締めつけられる「嵌頓(かんとん)」というまれな状態の可能性があり、早急な受診が必要です。
鼠径ヘルニアそのものについては鼠径ヘルニア(脱腸)とは|原因・治療・手術で、治療の流れは鼠径ヘルニア日帰り手術の専門ページで詳しくご案内しています。
Femoral Hernia
鼠径ヘルニアより下の膨らみ ― 大腿ヘルニアはどう違いますか?
結論:大腿ヘルニアは鼠径ヘルニアより少し下の太ももの付け根側に出るもので、見分けが難しく、受診による鑑別が大切です。
大腿ヘルニアは、足の付け根の中でも鼠径ヘルニアより一段下、太もも側に近い部分から組織が出てくる状態です。膨らみの位置が鼠径ヘルニアと近いため、見た目や手で触れた感覚だけでは区別がつきにくく、ご自身で「これは大腿ヘルニアだ」と判断するのは難しいのが実際です。
大腿ヘルニアは、膨らみが小さくても出口が狭いことがあるとされ、出た組織が締めつけられて戻らなくなる状態が起こりうると一般に説明されます。そのため、足の付け根の膨らみは「鼠径ヘルニアだろう」と自己判断で様子を見るのではなく、種類の見分けも含めて医療機関で確認することが大切です。
膨らみの位置がわずかに違うだけで、種類も対応も変わりうるからこそ、自己診断ではなく診察での鑑別をおすすめします。診察では、触診に加えて必要に応じた画像の検査などで、どの種類のヘルニアかを確認していきます。
Umbilical Hernia
おへその膨らみ ― 大人の臍ヘルニアはどんなものですか?
結論:大人の臍ヘルニアはおへそ部分に膨らみが出るもので、立ったり力んだりすると目立ち、これも自然には治りにくいとされます。
臍ヘルニアは、おへその部分のおなかの壁が弱くなり、そこから組織が出てくる状態です。大人の方では、おへそがふくらんで見える、押すとやわらかく引っ込む、立ったり力んだりすると目立つ、といった形で気づかれることがあります。
おへその膨らみは、ヘルニア以外の原因で生じることもあるため、見た目だけで臍ヘルニアと決めつけることはできません。膨らみが気になる、だんだん大きくなる、痛みや違和感を伴うといった場合は、何が原因かを確かめる意味でも受診をおすすめします。
本記事は成人の方を対象としています。膨らみの正体や対応について気になる点がある場合は、見た目だけで判断せず、受診のうえで確かめていただくのが安心です。
How to Tell Them Apart
位置や特徴で、自分で見分けることはできますか?
結論:膨らみの位置はてがかりになりますが、種類が近く重なることもあるため、確実な見分けは受診による診察が必要です。
膨らみの場所は、種類を考えるうえでの一つのてがかりにはなります。足の付け根なら鼠径ヘルニアか大腿ヘルニア、おへそなら臍ヘルニア、という大まかな見当はつけられます。しかし、鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアは出口が近く、見た目や触った感じだけでは医療者でも触診だけで断定しにくいことがあります。
また、膨らみがヘルニアによるものなのか、それとも別の原因によるものなのかも、自己判断では分かりません。だからこそ、位置や特徴はあくまで「受診のきっかけ」ととらえ、種類の確定や原因の見極めは診察に委ねるのが安全です。
- 位置のてがかり ― 足の付け根なら鼠径/大腿、おへそなら臍を考える材料になる。
- 出方のてがかり ― 立つ・力むと出て、横になる・押すと引っ込むものはヘルニアらしい特徴とされる。
- 注意すべきサイン ― 膨らみが急に硬くなって戻らず、強い痛みや吐き気を伴うときは、まれな緊急の状態の可能性があり早急な受診を。
- 見分けの結論 ― 位置や出方はてがかりにすぎず、種類の確定と原因の見極めは受診による診察が必要。
Which Department to See
足の付け根やおへその膨らみは、何科を受診すればよいですか?
結論:おなかの膨らみは外科で扱うことが多く、ヘルニアの診療を行っている医療機関に相談するのが一つの目安です。
足の付け根やおへその膨らみがヘルニアによるものである場合、その診療は外科で扱われることが一般的です。受診先に迷うときは、ヘルニアの診療を行っているかどうかをホームページや問い合わせで確かめてから受診すると、相談がスムーズです。膨らみがヘルニア以外の原因による可能性もあるため、まずは「何が膨らみの正体か」を確かめてもらうつもりで受診すると安心です。
当院(新橋DAYクリニック)は、成人の鼠径ヘルニアの日帰り手術を中心に、大腿ヘルニアの手術にも対応しています。臍ヘルニアなどそのほかのヘルニアや、鑑別が必要な場合・ほかの病気が疑われる場合には、診察のうえで適切な診療科・医療機関をご案内します。まずは膨らみの正体を確かめるところから、ご相談ください。
受診先を選ぶときの考え方や、日帰り手術の流れについては日帰り手術の専門ページを、よくあるご質問はよくあるご質問をあわせてご覧ください。
FAQ
よくいただくご質問
Q. 足の付け根に膨らみがあります。鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアのどちらか、自分で分かりますか?
A. 膨らみの位置はてがかりになりますが、鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアは出口が近く、見た目や触った感じだけでは見分けが難しいことがあります。種類の確定や、ヘルニア以外の原因の有無も含めて、受診による診察で確かめることをおすすめします。
Q. おへその膨らみが気になります。大人でも臍ヘルニアになりますか?
A. はい、大人の方にも臍ヘルニアは見られます。立ったり力んだりすると目立ち、押すとやわらかく引っ込むことがあります。ただし、おへその膨らみはヘルニア以外の原因のこともあるため、見た目だけで決めつけず、原因を確かめる意味でも受診をおすすめします。
Q. 足の付け根やおへその膨らみは、何科を受診すればよいですか?
A. おなかの膨らみは外科で扱われることが多く、ヘルニアの診療を行っている医療機関に相談するのが一つの目安です。膨らみの正体がヘルニアかどうかも含めて確かめてもらうつもりで受診すると安心です。
Q. 痛みがなく、押すと引っ込みます。様子を見ても大丈夫ですか?
A. ヘルニアは自然に塞がって治ることは基本的にないとされ、種類によっては経過に注意が必要なものもあります。痛みが乏しくても、まずは何の膨らみかを確かめるために受診されることをおすすめします。なお、膨らみが急に硬くなって戻らず、強い痛みや吐き気を伴う場合は、早急な受診が必要です。
Q. 大腿ヘルニアや臍ヘルニアの手術も、こちらで受けられますか?
A. 当院は成人の鼠径ヘルニアの日帰り手術を中心に診療しています。大腿ヘルニア・臍ヘルニアの手術への対応可否は診察のうえで判断する事柄のため、まずはご相談ください。鑑別が必要な場合やほかの病気が疑われる場合には、適切な診療科・医療機関をご案内します。
Q. 受診すると、どのように種類を見分けるのですか?
A. 一般には、医師による触診に加え、必要に応じた画像の検査などで、どの種類のヘルニアか、ヘルニア以外の原因はないかを確認していきます。膨らみの位置や出方を実際に診たうえで判断するため、自己判断より確実です。
Get in Touch
どこから相談すればよいですか?
結論:気になることがあれば、診断や費用の見通しの段階からご相談いただけます。
鼠径ヘルニア(脱腸)は、自然には治らない病気です。不安なまま様子を見ているあいだに症状が進むこともあります。少しでも気になることがあれば、受診や相談で確かめていくことをおすすめします。
新橋DAYクリニックは、JR新橋駅日比谷口から徒歩1分、東京メトロ銀座線新橋駅B出口すぐの場所にあります。完全予約制で、火曜・木曜・金曜・土曜に手術日を設け、水曜・金曜は20時まで診療しています。初診のオンライン診療にも対応しています。
- ご相談・ご予約 ― 0120-546-195
- 代表電話 ― 050-5527-1126
この記事の制作者
岡村 正之
新橋DAYクリニック院長・麻酔科医師
日本専門医機構認定麻酔科専門医
黒崎 哲也
新橋DAYクリニック外科統括医師
日本外科学会認定外科専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本ロボット外科学会Da Vinci certificate
日本ロボット外科学会Robo-DocPilot国内B級
大城 崇司
新橋DAYクリニック外科医師
東京慈恵会医科大学 上部消化管外科 准教授
富山大学附属病院消化器・腫瘍・総合外科 客員教授兼任
日本外科学会認定外科専門医、指導医
日本消化器外科学会専門医、指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科)
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本抗加齢学会専門医
Certificate of da Vinci console surgeon
日本肥満症治療学会評議員・データベース委員・教育委員・メンタルヘルス部会委員
日本内視鏡外科教育委員(減量・代謝改善手術担当)、縫合・結紮手技インストラクター
鈴木 淳一
新橋DAYクリニック外科医師
板橋中央総合病院外科診療部長
日本外科学会認定外科専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
日本消化器病学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本腹部救急医学会認定医
板橋中央総合病院外科診療部長
新居 高
新橋DAYクリニック外科医師
板橋中央総合病院外科医長
日本外科学会認定外科専門医
鈴木 淳平
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本腹部救急医学会認定医
板橋中央総合病院外科
監修:院長 岡村 正之(日本専門医機構認定 麻酔科専門医)|最終更新日:2026-06-25
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