鼠径部(足の付け根)のしこり・腫れは何科へ? ― 受診先の決め方
GROIN LUMP — WHICH DEPARTMENT TO VISIT
鼠径部(足の付け根)のしこり・腫れは何科へ? ― 受診先の決め方
足の付け根(鼠径部)に、しこりやふくらみを見つけると、「これは何だろう」「どこを受診すればよいのだろう」と迷われる方は少なくありません。痛みがないと様子を見てしまいがちですし、場所のこともあって受診をためらう方もいらっしゃいます。
この記事は、鼠径部にしこりや腫れがあるときに、どの科を受診すればよいか、どんな原因が考えられるか、すぐ受診したほうがよいのはどんなときかを、麻酔科専門医の視点で整理したものです。ここで病名を決めることはできませんので、受診の目安としてお読みください。
Which Department to Visit
鼠径部のしこり・腫れは、何科を受診すればよいですか?
結論:まずは外科(消化器外科・鼠径ヘルニアを扱う外科)の受診をご検討ください。鼠径部のしこり・ふくらみで受診される方のなかには、鼠径ヘルニア(脱腸)が見つかる方がいらっしゃいます。
鼠径部のしこりは、原因によって担当する科が変わります。ただ、受診する前に原因を見分けるのは難しいため、まず外科で診てもらい、必要に応じて適切な科につないでもらうのが分かりやすい進め方です。次のような目安になります。
- 立ったときや力を入れたときにふくらみが出る、横になると引っ込む ― 鼠径ヘルニアを扱う外科・消化器外科。
- 押すと痛む、熱っぽい、皮膚が赤い ― まずは外科、または内科でも相談できます。
- 女性で、生理周期や妊娠・出産と関係しそうな症状もある ― 外科で相談のうえ、必要に応じて婦人科と連携します。
- 戻らないふくらみに強い痛み、吐き気・嘔吐がある ― 迷わず救急(下の「すぐ受診」をご覧ください)。
すでに「鼠径ヘルニアかもしれない」と見当がついている方は、鼠径ヘルニアは何科を受診すれば良いですか? もあわせてご覧ください。この記事は、まだ病名の見当がついていない「しこり・腫れ」の段階から、受診先を決めるための内容です。
What the Lump May Be
鼠径部のしこりは、何が原因のことがありますか?
結論:鼠径ヘルニア、リンパ節の腫れ、皮下のかたまりなど、いくつもの原因が考えられます。見た目や触った感じだけで見分けるのは難しく、診察で確かめることになります。
鼠径部には、腸などが出てくる隙間、リンパ節、血管、脂肪組織が集まっています。そのため、しこりや腫れの原因も一つではありません。よく挙がるものを整理します。
- 鼠径ヘルニア(脱腸) ― お腹の壁のすき間から、腸や脂肪が皮膚の下に出てくる状態です。立つ・いきむ・咳をするとふくらみ、横になると引っ込むことが多いのが特徴です。
- リンパ節の腫れ ― 足や下腹部の炎症・感染に伴って腫れることがあります。押すと痛むことがあります。
- 皮下のかたまり(脂肪のかたまり、のう胞など) ― 姿勢を変えても大きさがあまり変わらないことがあります。
- そのほかの病気 ― まれではありますが、上に挙げたもの以外が見つかることもあります。だからこそ、自己判断で様子を見続けるのではなく、一度診てもらうことが大切です。
鼠径ヘルニアとまちがえやすい病気については、鼠径ヘルニアとよく見間違える疾患 でもくわしく説明しています。
Signs That Suggest a Hernia
鼠径ヘルニアかどうか、自分で確かめられる手がかりはありますか?
結論:「立つと出て、横になると引っ込む」かどうかが、分かりやすい手がかりです。ただし、これで確定するものではありません。
鼠径ヘルニアは、お腹に力が入るとふくらみが出て、力を抜くと戻る、という変化がみられることが多い病気です。次のような点を、受診前にご自身で確かめておくと、診察のときに役立ちます。
- 立ったときと横になったときで、大きさが変わるか ― 立つと出て、横になると小さくなる/消える。
- 咳をしたり、いきんだりすると出てくるか ― お腹に力が入ると出てくる。
- やさしく押すと戻るか ― 強く押し込もうとせず、軽く触れた範囲で確かめてください。
- いつごろから、どんなときに気づいたか ― 立ち仕事や重い物を持ったあとなど、きっかけも手がかりになります。
- 痛みの程度と、痛み以外の症状 ― 違和感だけのことも、引っぱられるような感じのこともあります。
痛みがなくても、鼠径ヘルニアであることはあります。「痛くないから大丈夫」とは言えないため、気づいた時点で相談していただくのが安心です。症状のセルフチェックは 鼠径ヘルニアの症状とリスク(セルフチェック) もご参照ください。
When to Seek Urgent Care
すぐに受診・救急を考えたほうがよいのは、どんなときですか?
結論:ふくらみが戻らず、強い痛みや吐き気・嘔吐があるときは、様子を見ずに救急の受診をご検討ください。
出てきた腸などが元に戻らなくなり、血のめぐりが悪くなる状態(嵌頓:かんとん)が起きることがあります。頻度は高くありませんが、時間が経つほど対応が大きくなるため、次のようなときは急いで受診してください。
- ふくらみが硬くなり、押しても戻らない
- その部分の強い痛みが続く
- 吐き気・嘔吐がある、お腹が張って苦しい
- 皮膚の色が変わってきた
夜間や休診日にこうした症状が出た場合は、当院の診療時間をお待ちにならず、救急外来を受診してください。嵌頓についてはくわしく 鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)― 戻らない・痛い・吐くときは で説明しています。
Will It Go Away on Its Own
自然に治りますか? 様子を見ていてもよいですか?
結論:しこりの原因が鼠径ヘルニアであった場合、自然に治ることは期待できません。お薬や運動でふさがる性質のものではないためです。
鼠径ヘルニアは、お腹の壁にできたすき間から中身が出てくる状態です。すき間そのものが自然にふさがることは考えにくく、時間の経過とともにふくらみが大きくなったり、出てくる回数が増えたりすることがあります。
一方で、リンパ節の腫れなど、原因によっては経過を見るだけでよいこともあります。どちらであるかを決めるには診察が必要ですので、「そのうち消えるだろう」と待つよりも、一度確かめておくことをおすすめします。
For Women
女性でも、鼠径部にしこりが出ることはありますか?
結論:あります。女性の鼠径ヘルニアは、男性と比べると気づかれにくく、受診が遅れることがあります。
女性の場合、ふくらみがはっきりしないことや、「引っぱられるような感じ」「重い感じ」といった違和感が主な症状であることがあります。婦人科の症状と迷われることもあり、どこに相談すればよいか分かりにくいという声をいただきます。
鼠径部の症状であれば、まず外科で相談していただければ、必要に応じてほかの科と連携して進めます。くわしくは 女性の鼠径ヘルニア ― 気づきにくい症状と受診の目安 をご覧ください。
What Happens at the Visit
受診すると、どんなことをしますか?
結論:お話をうかがい、立った姿勢と横になった姿勢で診察し、必要に応じて超音波などの検査で確かめます。
鼠径ヘルニアかどうかは、多くの場合、診察で見当がつきます。立った状態でふくらみを確認し、横になったときの変化や、咳をしたときの動きをみます。判断が難しいときや、ほかの原因も考えられるときには、画像の検査を追加します。
その日の診察で治療が必要と分かった場合も、その場で手術を決めなければならないわけではありません。何が起きているのか、どんな選択肢があるのかをご説明したうえで、ご相談しながら進めます。
- 問診 ― いつから、どんなときに出るか、痛みや違和感の程度。
- 診察 ― 立位・臥位での確認、咳をしたときの変化。
- 必要に応じた検査 ― 超音波など、原因を確かめるための検査。
- ご説明 ― 分かったこと、考えられる原因、治療の選択肢。
FAQ
よくいただくご質問
Q. 鼠径部(足の付け根)のしこりは、何科に行けばよいですか?
A. まずは外科(消化器外科・鼠径ヘルニアを扱う外科)の受診をご検討ください。鼠径部のしこりは原因が一つではなく、受診前に見分けるのは難しいため、外科で診てもらい、必要に応じて適切な科につないでもらう進め方が分かりやすいです。
Q. 痛くないしこりでも、受診したほうがよいですか?
A. はい。鼠径ヘルニアは痛みがないこともあり、「痛くないから大丈夫」とは言えません。原因によって対応が変わりますので、気づいた時点で一度確かめておくと安心です。
Q. 鼠径部のしこりは自然に治りますか?
A. 原因が鼠径ヘルニアであった場合、自然に治ることは期待できません。お腹の壁のすき間そのものが自然にふさがる性質のものではないためです。一方、リンパ節の腫れなど、原因によっては経過を見るだけでよいこともあります。どちらであるかは診察で確かめます。
Q. 押すと痛いしこりと、痛くないしこりでは、原因が違うのですか?
A. 押したときの痛みは手がかりの一つですが、それだけで原因を決めることはできません。立ったときに出て横になると引っ込むかどうか、大きさが変わるかどうかなども含めて、診察で確かめていきます。
Q. すぐに受診したほうがよいのは、どんなときですか?
A. ふくらみが硬くなって押しても戻らない、強い痛みが続く、吐き気や嘔吐がある、皮膚の色が変わってきた、といったときです。嵌頓(かんとん)といって、出てきた腸などの血のめぐりが悪くなっている可能性がありますので、様子を見ずに救急の受診をご検討ください。
Q. 受診したら、その日に手術を決めなければいけませんか?
A. いいえ。まず何が起きているのかを確かめ、考えられる原因と治療の選択肢をご説明します。そのうえでご相談しながら進めますので、その場で決めていただく必要はありません。
Get in Touch
どこから相談すればよいですか?
結論:鼠径部のしこり・腫れに気づいたら、まずはご相談ください。受診先に迷う段階からのお問い合わせでも構いません。
新橋DAYクリニックは、JR新橋駅日比谷口から徒歩1分、東京メトロ銀座線新橋駅B出口すぐの場所にあります。完全予約制で、火曜・木曜・金曜・土曜に手術日を設け、水曜・金曜は20時まで診療しています。初診のオンライン診療にも対応していますので、お仕事の都合がつきにくい方もご相談ください。
鼠径ヘルニアであった場合の治療の流れは 鼠径ヘルニア日帰り手術について、病気そのものの説明は 鼠径ヘルニア(脱腸)とは をご覧ください。
- ご相談・ご予約 ― 0120-546-195
- 代表電話 ― 050-5527-1126
この記事の制作者
岡村 正之
新橋DAYクリニック院長・麻酔科医師
日本専門医機構認定麻酔科専門医
黒崎 哲也
新橋DAYクリニック外科統括医師
日本外科学会認定外科専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本ロボット外科学会Da Vinci certificate
日本ロボット外科学会Robo-DocPilot国内B級
大城 崇司
新橋DAYクリニック外科医師
東京慈恵会医科大学 上部消化管外科 准教授
富山大学附属病院消化器・腫瘍・総合外科 客員教授兼任
日本外科学会認定外科専門医、指導医
日本消化器外科学会専門医、指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科)
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本抗加齢学会専門医
Certificate of da Vinci console surgeon
日本肥満症治療学会評議員・データベース委員・教育委員・メンタルヘルス部会委員
日本内視鏡外科教育委員(減量・代謝改善手術担当)、縫合・結紮手技インストラクター
鈴木 淳一
新橋DAYクリニック外科医師
板橋中央総合病院外科診療部長
日本外科学会認定外科専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
日本消化器病学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本腹部救急医学会認定医
新居 高
新橋DAYクリニック外科医師
板橋中央総合病院外科医長
日本外科学会認定外科専門医
鈴木 淳平
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本腹部救急医学会認定医
板橋中央総合病院外科
監修:院長 岡村 正之(日本専門医機構認定 麻酔科専門医)|最終更新日:2026-08-10
鼠径ヘルニア・ブログ記事
鼠径ヘルニア日帰り手術
鼠径ヘルニア(脱腸)とは
鼠径ヘルニア・診察予約
鼠径ヘルニア・無料相談
ペインクリニック・一般診療
~鼠径ヘルニアにお悩みの方へ~
院長の岡村より患者さまへのご挨拶
For Patients From Outside Japan
よくある質問
メディア掲載実績
日帰り手術の口コミ紹介
鼠径ヘルニアセルフチェックシート
鼠径ヘルニア治療レポート
こちらの記事もご覧ください