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鼠径ヘルニアとよく見間違える疾患

記事最終更新日: 2024年7月6日

下腹部のふくらみを見つけて、どうしよう鼠径ヘルニアかも?と思って当院のサイトにたどりついていませんか?
確かに鼠径ヘルニア(脱腸)であれば手術をしないと治療できない疾患ですが、本当にあなたのその「下腹部のふくらみ」、鼠径ヘルニアでしょうか。CTなど撮影しないと鑑別できないような疾患もありますが、よくある見間違い疾患をご紹介します。鼠径ヘルニアでない場合に受診をする医療機関を判断する一助になれば幸いですが、しかし、患者さまが迷ったときには、当院のような鼠径ヘルニアを診療しているクリニックにお気軽にご受診ください。

粉瘤(ふんりゅう)

粉瘤は、皮膚にできる良性の皮下腫瘍です。アテローム、表皮嚢腫とも呼ばれます。袋状の構造物の中に角質や皮脂がたまり、全身どこにでもできることがあります。自然治癒はせず、完治には手術で袋状の組織を取り除く必要があります。放置すると大きくなったり、感染して化膿するリスクがあります。つぶして中身を出しても、袋が残るため再発します。粉瘤は一般的には硬い腫瘤なので、押しても凹まないところが鼠径ヘルニアとの違いになります。粉瘤を疑ったら、皮膚科に受診をご検討ください。

リンパ節腫大

リンパ節腫大は、ぐりぐりとしたしこりが特徴です。主な原因として、感染症、自己免疫疾患、悪性疾患などが考えられますが、原因は多岐にわたり、軽い風邪の後にリンパ節腫脹を感じる場合や、予防接種直後の免疫反応によるものなどもあります。通常押しても凹むことはありません。感染症などの反応性の場合には痛みを伴い、悪性の場合には痛みを伴わないことが多いといわれています。鼠径部のリンパ節が腫大しているときは、内科や泌尿器科、そして女性は産婦人科が専門の医療機関になります。

陰嚢水腫

陰嚢内(睾丸の周り)に水が溜まった状態をさします。基本的には悪性の病気ではなく、特に陰嚢に水がたまったからと言って身体に影響はありません。鼠径ヘルニアと異なり原因が腸ではなく睾丸部であるため、ふくらみが睾丸部に限局しているのが特徴です。また横になっても凹まないことも多く、こうした所見が鼠径ヘルニアとは見た目が異なりますが、一見しただけでは鑑別がつかないこともあり、しばしば超音波など画像診断が必要となります。泌尿器科への受診をご検討ください。

腫瘤の性状押して凹むか横になると凹むか
鼠径ヘルニア柔らかい凹む凹む
粉瘤硬い凹まない凹まない
リンパ節腫大硬い凹まない凹まない
陰嚢水腫柔らかいこともある凹むこともある凹まない

その他にも精索静脈瘤、Nuck管水腫、異所性子宮内膜症など、鑑別を要するものは様々あります。そのため、鼠径ヘルニアと思ってご来院して診察や検査をしたら、別の疾患だった、なんてことはよくあります。まずは鼠径部に症状を認めたら上記の表を参考にして頂ければとは思いますが、ご自身で判断がつかなければ遠慮なく鼠径ヘルニアを診療する当院のような医療機関へのご受診をご検討ください。

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※最終的な診断には医師の診察が必要です。