日本麻酔科学会は2022年にコロナワクチン接種後の手術までの待期期間に関する提言を行っています。それによると、ワクチンにより十分な免疫を得るためには、鼠径ヘルニア(脱腸)のような待機手術は接種後2週間(14日)の期間をおくよう推奨されています。根拠として、一般的なワクチン(肺炎球菌ワクチンなど)の十分な抗体産生に要する期間(接種後1~2週間)を参考にしているようです。
一方、同じ提言で、発熱などの症状が軽減していることが前提ですが、接種後3日目(48 時間経過後)には手術の実施自体は可能としています。ただし、当院の場合は、接種後2週間以内の手術では抗体産生が減少する可能性があることをご了承いただいております。
なるべくなら、2週間の待期期間を設けて手術日を設定するようにしましょう。なお、この期間でも診察や術前検査は問題ありません。また、当院でワクチン接種も行っていますので、受診時に手術日を決定した上で、その場でワクチン接種を行うこともできます。
著者・文責: 岡村正之 新橋DAYクリニック院長 日本専門医機構認定麻酔科専門医