そけいヘルニア

痛みの専門家・麻酔科医が回答【鼠径ヘルニア(脱腸)手術、鼠径部切開法と腹腔鏡手術で痛みはどう違う?】

最終記事更新日: 2022年9月22日

こんにちは、新橋DAYクリニック院長の岡村です。私は麻酔科医として、当院の鼠径ヘルニア手術の麻酔を担当しています。また、術後の痛みに対する処置を専門として行っております。

当院にお越しになる患者さんは、腹腔鏡手術を希望してご来院される方が多いですが、その理由をお尋ねしてみると、大体「終わった後の痛みが少なそうだから」とお答えされます。

たしかに、腹腔鏡手術は鼠径部切開法と較べると圧倒的に術後の痛みが小さくなります。家事やお仕事などの日常生活にすぐ復帰できる「日帰り手術」を検討されている方にとって、術後の痛みの程度は重要です。そこで今回は鼠径ヘルニア手術の術後の痛みについて、当院で行われている「腹腔鏡手術」と、従来法である「鼠径部切開法」とを比較しながら、痛みが少なくなる理由について解説します。

鼠径部切開法と腹腔鏡手術で感じる痛みの違い

鼠径(そけい)ヘルニアの手術には主に、

・腹腔鏡下手術
・鼠径部切開法

大きく分けて、腹腔鏡を使うかどうかでこの2つの手法に分かれます。

前提として、全身麻酔で眠っているため、手術中に痛みを感じることはありません。手術中は完全に無痛です。「気づいたら終わっている」といった表現の方が正しいかもしれません。

皆さんが気になるのは、手術後の痛みと「傷あとがどの程度残るか?」ではないでしょうか。術式を較べると、腹腔鏡手術のほうが手術後の痛みも少なく、残る傷あとも小さくなります。

傷口は腹腔鏡のほうが小さい

鼠径ヘルニア手術腹腔鏡手術の傷・各約5mm程度
鼠径ヘルニア手術・鼠径部切開法の傷

腹腔鏡手術では、5mm程度の穴を3か所、開けます。1か所が腹腔鏡(カメラ)を入れるため、その他2カ所は鉗子(かんし・手術器具)を入れるための穴です。

一方、鼠径部切開法の傷口は、3cmから5cmくらいになります。傷の大きさは、鼠径部切開法の中の細かい術式の違いや、執刀する医師の技量や考え方(傷を小さくすることよりも、手術しやすいように切るほうが「安全だ」という考え)にもよります。また、見た目の傷が小さくても、内部の腹膜は表面以上に切る場合もあります。

実はこの腹膜を切る幅が長いと、術後の痛みも大きくなるのです。なぜならお腹の内部を取り囲むようにつながっている腹膜は、呼吸とともに伸展し動くためです。呼吸そのたびに傷口が引き伸ばされるので腹膜を切った幅が大きいほど、生じる痛みも大きくなります。

そのため、手術による身体へのダメージを減らす手術法(低侵襲と言います)が長年研究されてきましたが、その最たるものが傷口を小さくする手術法の開発でした。腹腔鏡手術もこうした研究による偉大な成果であり、1か所あたりの傷を小さくし、腸管が露出する時間を少なくすることにより術後の癒着など合併症を減らせるようになりました。今日では腹腔鏡が広く普及し、鼠径ヘルニア以外の外科手術で腹腔鏡が使用されています。

胃、大腸、胆のう、食道、虫垂炎などは腹腔鏡手術が第一選択となっています(ロボット手術も腹腔鏡手術の一種です)。近年では肝臓や膵臓手術でも腹腔鏡が用いられるようになってきました。

いずれの場合も、腹腔鏡のほうが開腹手術より傷口が小さくなります。鼠径ヘルニア手術の場合は、臓器の摘出がなく傷口も小さいため、手術当日からシャワー浴が可能です。翌日から湯船に入っても問題ありません。

術後の痛み対策:ブロック注射で長く鎮痛

鼠径ヘルニア手術・ブロック注射

鼠径部切開法の場合、必ずしも全身麻酔は必須ではありません。日帰りクリニックでは局所麻酔のみで行う事もありますが、手術の安全管理の観点から、市中病院・総合病院では、麻酔科医が全身麻酔、もしくは背中に注射を行い下半身のみ痛みをとる脊椎麻酔を行うことが一般的です。術後の痛み対策としては、近年は全身麻酔にブロック注射を併用する事が増えてきています。それにより傷口が大きくてもある程度は鎮痛できます。

腹腔鏡手術の場合、全身麻酔が必須です。通常麻酔科医が全身麻酔を行い、術後の痛みを管理します。傷口が小さいので、全身麻酔のみで術後の痛み対策は鎮痛薬の内服で充分なことも多いのですが、当院では全身麻酔とブロック注射を併用し、より術後の痛みに配慮しています。ブロック注射は左右脇腹の2カ所に注射し、傷口と腹膜から脳に伝達される痛みの経路をブロックします。これにより術後の不快な痛みを軽減します。

当院のブロック注射で用いる局所麻酔薬「レボブピバカイン」は、個人差はあるものの、手術後平均9時間程度は持続します。ブロック注射は体内の小さなスペース(コンパートメント)に局所麻酔薬を留まらせることで、少量でも鎮痛効果が長く続きます。これで術後本来最も痛みが強い時間帯をブロック注射の効果で乗り切ることが可能です。

一方、局所麻酔で使用する局所麻酔薬(リドカイン)や脊椎麻酔に使用する局所麻酔薬(ブピバカイン)の持続時間はおよそ2-3時間程度です。これらは手術を行うためのものであり、術後鎮痛としての使用は考慮されていません。ブロック注射で用いるレボブピバカインを、ブロック注射や一部の麻酔方法(硬膜外麻酔)以外で用いることは、医療保険の請求上、許可されていません。

ブロック注射や局所麻酔が切れた後も痛みは残りますが、腹腔鏡手術の場合、当院でお渡しする鎮痛剤を服用していただけば、ほとんどの方が問題なく翌日以降も日常生活を送られています。鎮痛薬は毎食後に飲むものと、痛みが出た際に使用するものがあります。お薬を飲まず痛みを我慢する方もいらっしゃいますが、あまり意味がありません。術後の痛みは積極的に鎮痛した方が合併症の発生が下がるという報告も多くあり、痛みを我慢せず内服薬をしっかり服用することをおすすめしています。

当院で腹腔鏡手術を適用できない例

以上の解説で、術後の痛みの観点からも腹腔鏡手術に多くのメリットがあることがおわかり頂けたと思います。可能であるならばすべての患者さんに受けていただきたい手術法ですが、腹腔鏡手術を適用できない場合があります。

・以前に同側の鼠径ヘルニア手術を腹腔鏡にて行っている場合
・下腹部の開腹手術の既往(大腸手術や前立腺全摘出術などのお腹を大きく開ける手術)

主に開腹手術の既往がある場合、癒着の可能性があることから腹腔鏡手術は難しいことが予想されます。特に前立腺全摘手術を行った場合、鼠径ヘルニア手術で剥離する腹膜と、前立腺手術の際に剥離する腹膜が同じ部位であることから、再度剥離する際に困難や合併症の可能性があり、原則当院では日帰りでの腹腔鏡手術を実施しておりません。

また、次の状態にある患者さんは、安全確保のために当院では日帰り手術をご案内しておりません。

・重度の糖尿病の方
・重症の貧血がある方、血液疾患で血が固まりにくい方
・重度の心臓・呼吸器病など臓器の病気がある方
・喘息発作を繰り返す方
・人工透析を行っている方
・BMI30以上の肥満がある方
・深部静脈血栓、肺動脈血栓がある方
・免疫不全がある方
・重度の腎不全・肝不全がある方

当院では腹腔鏡での日帰り手術の可否について、最終的に医師の診察で総合的に判断しています。ご不明な点やご質問など、詳しくは当院医師までお問い合わせください。

手術前後にご不安になるのは当然のことです。したがって「こんなことを質問するのは恥ずかしい」「呆れられるのではないか」などと遠慮される必要はございません。

どうぞお気軽に、なんでもご質問ください。

鼠径ヘルニアの手術は安心しておまかせください

鼠径ヘルニアの手術、当院では腹腔鏡による身体に負担の少ない手術を行っております。鼠径ヘルニアの日帰り手術は、手術時間は、通常、30分~1時間程度です。腹腔鏡手術が普及した今日では、医師の技術修練も進み、鼠径部切開法と比較してもさほど手術時間に違いはありません。術後の痛みや安全性への取り組みでも多くのメリットがある手術法と言えます。

腹腔鏡手術の実績が豊富な当院なら、術後の痛みも少なく、総合病院で行っている術式を日帰りで行うことができます。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の制作者

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP

資料請求フォーム

そけいヘルニア日帰り手術
日帰り手術に関する資料をご希望の方皆様にお送りします。
お気軽にお申込み下さい。
1営業日以内にレターパックにて発送いたします。
お知らせ・ニュース
JR新橋駅 日比谷口 徒歩1分
東京メトロ銀座線 新橋駅 徒歩0分
都営三田線 内幸町駅 徒歩2分
本日の診療時間:9:00-18:00
診療時間
火・木・土曜日: 9:00~18:00
水・金曜日: 9:00~20:00
休診日:日・月・年末年始【完全予約制】
診察のご予約は休診日でも承っております。
ご予約・お問い合わせ専用ダイヤル
新橋DAYクリニック代表
FAX番号
所在地
〒105-0004
東京都港区新橋1丁目15−7
新橋NFビル 6階
診療科目
麻酔科・外科・内科
診療内容
鼠径ヘルニア日帰り手術(腹腔鏡)
ペインクリニック・肩こり外来
一般内科外来
渡航者ビジネスPCR検査
コロナワクチン・各種ワクチン接種
健康診断
本日の診療時間:9:00-18:00
診療時間
火・木・土曜日: 9:00~18:00
水・金曜日: 9:00~20:00
休診日:日・月・年末年始【完全予約制】
診察のご予約は休診日でも承っております。
ご予約・お問い合わせ専用ダイヤル
新橋DAYクリニック代表
FAX番号
所在地
〒105-0004
東京都港区新橋1丁目15−7
新橋NFビル 6階
診療科目
麻酔科・外科・内科
診療内容
鼠径ヘルニア日帰り手術(腹腔鏡)
ペインクリニック・肩こり外来
一般内科外来
渡航者ビジネスPCR検査
コロナワクチン・各種ワクチン接種
健康診断
JR新橋駅 日比谷口 徒歩1分
東京メトロ銀座線 新橋駅 徒歩0分
都営三田線 内幸町駅 徒歩2分
Newsweekで紹介されました 
9月23日診療を行っています 

当院の鼠径ヘルニア日帰り手術ついて、メリットなど紹介されました。

9月23日秋分の日は外来診療を行っております。鼠径ヘルニア(脱腸)でお困りの方は、お気軽にご相談下さい。