こんにちは、新橋DAYクリニックの院長、岡村です。「手術」と聞くと、費用を心配される方も多くいらっしゃいます。鼠径(そけい)ヘルニアの手術は、
①保険診療の対象である
②高額療養費制度を利用できる
ことから、当院で日帰り手術を受けられた場合の費用はシンプルです。
一見高額な窓口負担額ですが、当院に受診される患者さまのほとんどが高額療養費制度を利用し減免を受けています。高額療養費制度とは、高額な外来負担を軽減するための健康保険の給付制度です。詳細はこの記事の中段をご覧ください。
ただ、保険の負担割合や年間所得によって自己負担額が大きく変わりますので、注意してください。
当院で手術にかかる費用(自己負担額)
先に結論を書くと、当院で鼠径ヘルニアの日帰り手術を受けた場合の自己負担額はおよそ次の表のようになります。まず、日帰りなので入院費はかかりません。保険料は3割負担の場合を想定します。69歳以下の方は通常3割負担です。70歳以上の方は、お持ちの保険証をご確認ください。負担割合の記載があるはずです。
限度額の適用区分 | 年収の目安 | 自己負担額の目安 |
---|---|---|
ア、イ | 約770万円以上 | 約12万円 |
ウ | 約370-770万円 | 約8万円 |
エ | 約370万円以下 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
70歳以上の方の場合、負担割合は通常2割ですが、現役並みの所得がある場合は3割負担とされます。3割負担の場合は上記自己負担額と同様です。
2割負担の場合、自己負担限度額は約18,000円です。
また、対象者は生活保護医療扶助、ひとり親家庭等医療費助成制度での受診が可能です。詳しくはお問い合わせ下さい。
高額療養費制度の仕組み
自己負担額を計算するには「高額療養費制度」を考慮する必要があります。高額療養費制度とは、医療機関や薬局で自分が支払った金額が、1か月に一定の上限額を超えたとき、超過分の払い戻しを受けられる制度です。
70歳以上の方の場合、負担割合は通常2割ですが、現役並みの所得がある場合は3割負担とされます。3割負担の場合は上記自己負担額と同様です。
2割負担の場合、自己負担限度額は約18,000円です。
また、対象者は生活保護医療扶助、ひとり親家庭等医療費助成制度での受診が可能です。詳しくはお問い合わせ下さい。
(払い戻し)
厚生労働省の資料(高額療養費制度を利用される皆さまへ)にも記載の通り、患者さんの年収によって上限額が変わります。本来は、年収が約770~約1,160万円の人と、約1,160万円以上では上限額は異なりますが、鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術を受けたときの自己負担額は約12万円のため一律表記としました。
ご注意いただきたいのは、高額療養費制度は治療終了後に払い戻しを受ける制度です。一旦は約12万円をお支払いする必要があります。一般的に払い戻しまでには数か月を要します。
また、申請の際には、一般的に以下の書類が必要となります。
①健康保険高額療養費支給申請書(健康保険組合指定の用紙です)
②本人確認書類
③当院にて発行の診療明細書のコピー
限度額適用認定証の事前取得がおすすめ
上限額を超過した分の払い戻しを受けるには。受診後に健康保険組合に申請を行う必要があります。そこで、あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受けておく方法もあります。受診時に当院で提示いただくと、窓口の支払額を上限額までと減額でき、払い戻し手続きが不要となるので大変便利です。
また、事前に限度額適用証を申請すると「診療明細書のコピー」が必要ないので、提出書類が少なくおすすめです。
なお、限度額適用認定証の発行まで約1週間かかるので注意してください。
もし、手術までに発行が間に合わなかった場合でも、同月内に限度額適用認定証を当院までお持ちいただければその場で返金が可能です。
こちらにも情報を掲載していますので合わせてご覧ください。
https://1dc.jp/ambulatory_surgery/
日帰りの腹腔鏡手術は「トータルの医療コスト」が安い
日本ヘルニア学会がまとめた「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン」にも次のようにコストに関して記載されています。
・金額だけを比較すると直接的医療コストは鼠径部切開法を局所麻酔で行う日帰り手術が最も安価
・しかし鼠径部切開法と腹腔鏡手術を比較すると、腹腔鏡を使った方が手術後の疼痛や痺れ感などが少なく、日常生活復帰や社会復帰期間が短いとの報告がある
・社会的医療経済的側面を含めて比較をすると腹腔鏡手術の医療コストは削減される可能性がある
鼠径部切開法の保険点数は12,000点(両側。片側なら6,000点)に対して、腹腔鏡手術はおよそ倍に近い22,960点するため、直接の医療費は腹腔鏡の方が高いと言えます。しかし腹腔鏡手術の方が再発が少なく、また仕事や学校などに早く復帰できるケースが多いため、社会的・経済的な価値も合算して考えると、患者さんのメリットも大きくなると思われます。
これは鼠経ヘルニアに限らず、その他の外科手術についても同様な事が言えます。胃や大腸、泌尿器科、婦人科系手術でも腹腔鏡手術が第1選択となってきました(ロボット手術も腹腔鏡手術です)。
また、日帰り手術の場合、入院費がかかりません。手術翌日から社会復帰が可能な「腹腔鏡手術」を「日帰り」で行うことが患者さんにとっても社会的にも「トータルの医療コスト」が最も安いものと考えます。
まとめ
鼠径ヘルニア手術は術式により、入院の有無により、また患者さんの収入により、自己負担額は変わります。保険診療なのでどこで治療を受けても、治療内容が同じなら基本的には同一金額です。治療を決断するのは大変なことだと思いますが、そうした判断の一助になれば幸いです。
費用についてご不明な点がありましたら、当院までお気軽にご相談下さい。相談はいつでも無料で可能です。また診察の際に、高額療養費・限度額適用認定証の申請方法やお支払いについても詳しくご説明しております。
記事執筆
新橋DAYクリニック院長・麻酔科医師
日本専門医機構認定麻酔科専門医
記事監修
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医
板橋中央総合病院・腹腔鏡手術センター センター長
記事監修
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器病学会専門医
板橋中央総合病院外科
記事監修
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医
板橋中央総合病院外科
記事監修
新橋DAYクリニック外科医師
日本外科学会認定外科専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本腹部救急医学会認定医
板橋中央総合病院外科
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